BAR ふぐるま。

\生きる/

【東方四国祭6】宝石箱のアニマ

2013/03/17 12:59

  3/31に開催される東方四国祭6にて、「BAR ふぐるま。」より新刊を一冊頒布致します。



 

Outline



anima_1.jpg



石言葉SS合同
 『宝石箱のアニマ』
収録数6作品/全120ページ

頒布価格:500円
頒布場所:東方四国祭6
     E-07『BAR ふぐるま。』
発行  :国立⑨大学アニメーション研究会
イベント:2013年3月31日(日)
     愛媛県 松山市総合コミュニティセンター企画展示ホール1階



Members & Contents




 ・Writers/Illustrator

   文車でみせ   https://twitter.com/Demise_F/
   鯖.イバー   http://www.pixiv.net/member.php?id=779489

   みら     https://twitter.com/mira_mamy
   vivi      http://www.pixiv.net/member.php?id=861684
   
   七個     https://twitter.com/lazyqueen
   電球     https://twitter.com/Candytuft_Feast

   吉田龍陽   https://twitter.com/ryuyou625
   電光鼠    http://www.pixiv.net/member.php?id=151096

   言葉     https://twitter.com/kotoha_munasino
   リュウ    https://twitter.com/Liveddual/

   あまきこくあ https://twitter.com/amakikokua
   はやて    http://www.pixiv.net/member.php?id=341350



Samples



「海御前の葬列」
  文:文車でみせ 絵:鯖.イバー


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 川をずっと下って行くと外の世界に繋がっている、と婆々様はいつも言っていた。それはこの郷に住む者なら誰でも知っていることだったけど、婆々様はそれを見たと言っていたので、みんなは婆々様のことを嘘つきと笑っていた。
「海が見たくなって、小さな船で川を下ったんだ」
 婆々様の船は皆知っていた。
 アクアマリン号と名付けられた鉄の塊。
 図体も船にしてはこじんまりとして、船というよりは潜水艦のようなそれ。
 そんなので外の世界に行けるもんか、浸水して泡と消えるのが関の山だ。
 婆々様はたくさん笑われて、あまりその話をしなくなったけど、私がせがんだ時だけは、なつかしそうに目を細めて話してくれた。
「川を下るのはとても勇気がいる。並大抵な事じゃない。大きな波が、うねりが、岩が、滝が、絶えずわしに襲いかかって来た……」
 私は婆々様の話が大好きだった。
 外の世界までの大冒険。
 私はいつも、身じろぎもしないで聞いていた。何度聞いても飽きなかった。そして長い冒険の末、婆々様はついに外の世界にたどりつく。とてもとても広い水たまりが目の前に広がっている。
「海を見ると、この世というものの偉大さがわかる。お前もいつか見れるといいな」
 婆々様は少し笑ってそう言った。何かすごいものを見た顔だ。私はそう思った。



「日陰に埋もれた知識と感情」
  文:みら 絵:vivi


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「トルマリン、かしらね」
 本に埋もれながらパチュリーは首を傾げた。
 このブレスレットは何だっただろうか。
 なお、本に埋もれているというのは比喩ではない。
 彼女は現在、自室にて雑多に積み上がった本の山に身を埋めていた。さらに詳しく言うならば、事故により腰より下がその中に埋まっている。お陰で身動きが全く取れない。
 彼女はただ、読みたかった本に手を伸ばしただけなのだ。
 新しい魔術書でも書こうかと思いたち、参考にしようと、本棚の少し高い位置にあった本に手を伸ばしただけなのだ。
 魔法を用いて宙に浮くには低すぎ、立ったままでは届くような届かないような、微妙な高さにあった本を取ろうと、少しだけ跳んで、背伸びして横着しただけなのだ。
 まさか、その本が他の本と絶妙なバランスを保っているとは思わなかった。
 本を半分くらい抜き出したあたりで、嫌な汗が吹き出してきたのは自覚した。経験したことは全くないが、本能的に分かった。
 この本棚にある本たちのほぼすべてが反逆しようとしていると。この本を抜いた途端、牙をむいて襲い掛かってくると。
 だが、既に手遅れだった。
 戻すには背が少し足りず、このまま耐え抜くには筋力が全く足りず。
「うん、無理ね」
 足が小刻みに震えるのを自覚したと共に心の中に浮かんできたのは、あっけらかんとした、まるで他人ごとのような独り言だった。
 それとほぼ同時にパチュリーの両腕両足は限界を迎え、本棚は決壊したのだった。雪崩のごとき本の激流に襲われ、果てしなく間抜けな声を出したのを覚えている。
 そして何より、痛かった。
 分厚い本は凶器だと、知識では知っていた。しかし、予想以上だった。
 これからは本の角を使って殴るのはやめようと素直に思うくらいには痛かった。たんこぶの一つくらいはできている気がする。
 殴るなら、きちんと平たい部分で殴るようにしよう。そんなことを考えながら、鈍痛を訴える後頭部に手を伸ばそうとした時だった。パチュリーは左手に何か持っていることに気付いた。
 布張りの小箱だった。元から持っていた覚えもなければ、手にとった覚えもない。
 そして、布張りにしては感触が不快だった。パチュリーは眉をひそめた。指で振れた場所と、その他の場所で色が違うのだ。埃だった。
 小箱は、喘息持ちのパチュリーには殺人的なほどに埃っぽかったのだ。
 それを認識するのとほぼ同時だっただろうか。パチュリーの肺から空気が激流のごとくこみ上げてくる。どうやら埃を吸い込んでしまったらしい。
 一度咳が出始めると止まらない。止まる気配がない。それどころか、咳だけにとどまらず涙さえ出てくる。死ぬ。思わず小箱を取り落としてしまうほどだ。
 咲夜や小悪魔の掃除をかいくぐってここまで埃を貯めこみ、あまつさえ変色するなど、どれほど奥に隠れていたのやら。
 やっと咳が落ち着いた頃、取り落とした小箱に目をやると、小箱の蓋が開いていた。中身がこぼれるように出ている。
 トルマリンのブレスレットだった。




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